Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

四

吉岡一門の者にしても、まだその恥を知ることにおいては、決して、末期の人間のような厚顔は持たなかった。一時の狼狽と、敗色から甦ると、すぐ恥というものが頭へいっぱいに燃えた。

(師の恥)

とばかり、小我を捨てると、一同は道場に集まった。

清十郎を取り巻いてである。

だが、その清十郎の面は、きょうに限って、ひどく闘志がない。ゆうべからのつかれが、今になって眉にただよっていた。

「――その牢人者は」

清十郎は、革だすきをかけながら訊ねた。門人の出した二本の木剣を選んで、その一本を右手に提げた。

「お帰りを待とうという彼奴のことばにまかせて、あの一室に、控えさせてあります」

と、一人が庭に向っている書院脇の小部屋を指した。

四

「――呼んで来い」

清十郎の乾いた唇から出た言葉である。

挨拶をうけてやろうというのだった。道場から一段高い師範の座に腰をかけ、木剣を杖に立って、清十郎はいった。

「は」

三、四人が答えて、すぐ道場の横から草履を穿き、庭づたいに、書院の縁へ走ろうとするのを、祇園藤次や植田などの古参が、その勢い込む袂をつかまえて、

「待て待て、逸まるな」

それからの囁きは、すこし離れて見ている清十郎の耳には聞えなかった。