Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
「あきらめようか、どうしようか、そんな迷いをしているくらいなら、私は七宝寺から出てなど参りません。……これからも行こうとする途は決まっているのです。ただそれが、武蔵さまの不為であったら――私が生きていてはあの方の幸福にならないのなら――私は自分を、どうかするほかないのです」
「どうかするとは」
「今いえません」
「お通さん、気をつけな」
「何をですか」
「おまえの黒髪をひっぱっているよ。この明るい陽の下で死神が」
「私には何ともありません」
「そうだろう、死神が加勢しているんじゃもの。――だが、死ぬほどうつけはないよ。それも片恋ではな。ハハハハハ」
まるで他人事に聞き流されるのがお通は腹だたしかった。恋をしない人間になんでこの気持がわかる。それは沢庵が、愚人をつかまえて禅を説くのと同じである。禅に人生の真理があるなら、恋のうちにも必死な人生はあるのだ。尠くも、女性にとっては、生ぬるい禅坊主が、隻手の声如何などと、初歩の公案を解くよりも、生命がけの大事なのである。
(――もう話さない)
唇をかんでそう決めたように、お通が黙ってしまうと、今度は沢庵から真面目さを見せて、