Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
――ああ、びっくりしたじゃありませんか」
「武蔵が出たんじゃないよ、道端に、藤づるを張ったり、茨の垣を結ったりしてあるから、気をつけてあげたのだ」
「山狩の者が、武蔵さんを追い詰めるつもりで拵えたんですね」
「気をつけないと、わしらが、墜し穽に落ちてしまうよ」
「そんなこと聞くと、竦んで、一足も歩けなくなってしまう」
「落ちれば、わしから先だ。しかしつまらん骨折りをやったものさ。……おおだいぶ渓が狭くなったな」
「讃甘の裏は、先刻、越えました。もうこの辺は辻ノ原あたり」
「夜どおし歩いてばかりいても為方があるまいな」
「私に相談しても、知りませんよ」
「ちょっと、荷物をおろそう」
「どうするんです」
沢庵は、崖の際まで歩いて行って、
「お尿ッこ」
といった。
英田川の上流をなしている奔湍は、その脚下、百尺の巌から巌へぶつかって、どうどうと、吠えくるッている。
「アア、愉快。……自分が天地か、天地が自分か」
颯々と、尿の霧を降らしながら、沢庵は星でも数えているように天を仰いでいる。
お通は、彼方で、心細げに、
「沢庵さん、まだですか。ずいぶん長い」
やっと、戻って来て、
「ついでに、易を占ててきた。