Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

三

「一同へ、ご意見を求めても、遽かに評議は決まりそうもない。殺すにしても、ばっさり斬ってしまッては、腹が癒えんという婆もいるからの。――そうだ、四、五日のあいだ、武蔵の身は、あの千年杉の梢に上げて、手足を幹に縛りつけ、雨ざらし風ざらし、鴉に眼だまをほじらせてくれたらどうじゃろ?」

「…………」

すこし酷すぎると思ったのであろう、誰も返辞をしなかった。すると、お杉隠居が、

「沢庵どの、よい智慧じゃ、四日五日はおろか、十日でも二十日でも、千年杉の梢へ曝しにかけ、最後にはこの婆がとどめを刺してくれまする」

と、いった。

無造作に、

「じゃあ、そう決めよう」

沢庵は、武蔵の縄じりをつかんだ。

武蔵は、黙然と、うつ向いたまま千年杉の下へ歩むのだった。

村の者たちは、ふと、不愍を感じたが、先頃からの憤怒はまだ消え切れなかった。たちまち、麻縄を足して、彼の体を、二丈も空の梢へ引き揚げ、藁人形のように縛りつけて降りて来た。

三

山から降りて来た日、寺へもどって、自分の部屋へ入ると、お通はその日から急に、独りぽっちの身が淋しくてならなくなった。

(なぜかしら?)

独りぽっちは、今始まったことではないし、寺には、ともかく、人もおり火の気もあり明りも燈っているが、山にいた三日間というものは、寂寞たる闇の中に、沢庵さんとたった二人であった