Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
「誤りは、それだけか。おまえのしてきたことは誤りだらけだと思わないか。そうしている間に、すこし過去を考えろ」
「やかましい。おれは、天に恥じない。又八のおばばは、おれを仇の何のと罵ったが、おれは、又八の消息をあのおふくろへ告げることが、自分の責任だ、友達の信義だ、そう思ったからこそ、山木戸をむりに越え、村へ帰って来たのだ。――それが武士の道にそむいているか」
「そんな枝葉の問題じゃない、大体、おまえの肚――性根――根本の考えかたが間違っているから、一つ二つさむらいらしい真似をしても、何もならんのみか、却って正義だなどと、力めば力むほど、身をやぶり、人に迷惑をかけ、その通り自縄自縛というものに落ちるのだよ。……どうだ武蔵、見晴らしがよかろう」
「坊主、覚えておれ」
「乾物になるまで、そこから少し十方世界のひろさを見ろ、人間界を高処からながめて考え直せ。あの世へ行ってご先祖さまにお目にかかり、死に際に、沢庵という男がこう申しましたと告げてみい。ご先祖さまは、よい引導をうけて来たと欣ぶに違いない」
――それまで、化石したように、うしろの方に立ち竦んでいたお通は、ふいに、走りよって、甲だかく叫んだ。