Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
又八は、その「豊年童子」にかぞえられる組だった。だが又八のほうは、彼よりいくらか低くて固肥りに出来ていた。碁盤のような胸幅が肋骨をつつみ、丸ッこい顔の団栗眼を、よくうごかしながら物をいう。
いつのまに、覗いて来たのか、
「おい、武蔵、ここの若い後家は、毎晩、白粉をつけて、化粧しこむぞ」
などとささやいたりした。
どっちも若いのである。伸びる盛りの肉体だった、武蔵の弾傷がすっかり癒る頃には、又八はもう薪小屋の湿々した暗闇に、じっと蟋蟀のような辛抱はしていられなかった。
母屋の炉ばたにまじって、後家のお甲や、小娘の朱実を相手に、万歳を歌ったり、軽口をいって、人を笑わせたり、自分も笑いこけている客があると思うと、それがいつの間にか、小屋には姿の見えない又八だった。
――夜も、薪小屋には寝ない晩のほうが多くなっていた。
たまたま、酒くさい息をして、
「武蔵も、出て来いや」
などと、引っぱり出しに来る。
初めのうちは、
「ばか、俺たちは、落人の身じゃないか」
と、たしなめたり、
「酒は、嫌いだ」
と、そっけなく見ていた彼も、ようやく倦怠をおぼえてくると、
「――大丈夫か、この辺は」