Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
しかも清十郎様はまだ無妻だし、どう転んだって、行く末わるい話ではないぞ」
「私は、いいと思いますが」
「おまえさえよければ、それで文句のありようはない。じゃあ今夜は、二人で泊るがいいか」
灯りのない部屋である。藤次は臆面もなくお甲の肩へ手をかけた。すると襖のしまっている次の間でがたんと物音がした。
「あ。ほかにも、客がいたのか」
お甲は、黙ってうなずいた。そして藤次の耳へ、湿っぽい唇をつけた。
「後で……」
男女は、さりげなく、そこを出た、清十郎はもう酔いつぶれて横になっている。部屋をわけて、藤次も寝た。――寝つつも眠らずに訪れを待っていたのであろう。しかし、皮肉なことだった。夜が明けても、奥は奥で、ひっそりと寝しずまった限りだし、二人の部屋へは、衣ずれの音もしなかった。
ばかな目を見た顔つきで、藤次はおそく起き出した。清十郎はもう先に起きて川沿いの部屋でまた飲んでいる。――取り巻いているお甲も朱実も今朝は、けろりと冴えていて、
「じゃあ、連れて行ってくださる? きっと」
と、何か約束している。
四条の河原に、阿国歌舞伎がかかっている、その評判をもちだしているのだった。