Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

小屋を出て、二十日ぶりに青空を仰ぐと、思うさま、背ぼねに伸びを与えて欠伸した。そして、

「又やん、余り世話になっては悪いぞ、そろそろ故郷へ帰ろうじゃないか」

と、いった。

「俺も、そう思うが、まだ伊勢路も、上方の往来も、木戸が厳しいから、せめて、雪のふる頃まで隠れていたがよいと、後家もいうし、あの娘もいうものだから――」

「おぬしのように、炉ばたで、酒をのんでいたら、ちっとも、隠れていることにはなるまいが」

「なあに、この間も、浮田中納言様だけが捕まらないので、徳川方の侍らしいのが、躍起になって、ここへも詮議に来たが、その折、あいさつに出て、追い返してくれたのは俺だった。薪小屋の隅で、跫音の聞えるたび、びくびくしているよりは、いっそ、こうしている方が安全だぞ」

「なるほど、それもかえって妙だな」

彼の理窟とは思いながら、武蔵も同意して、その日から、共に母屋へ移った。

お甲後家は、家の中が賑やかになってよいといい、欣んでいるふうこそ見えるが、迷惑とは少しも思っていないらしく、

「又さんか、武さんか、どっちか一人、朱実の婿になって、いつまでもここにいてくれるとよいが」