Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

二

と、いったりして、初心な青年がどぎまぎするのを見てはおかしがった。

二

すぐ裏の山は、松ばかりの峰だった。朱実は、籠を腕にかけて、

「あった! あった! お兄さん来て」

松の根もとをさぐり歩いて、松茸の香に行きあたるたびに、無邪気な声をあげて叫んだ。

少し離れた松の樹の下に、武蔵も、籠を持ってかがみこんでいた。

「こっちにもあるよ」

針葉樹の梢からこぼれる秋の陽が、二人の姿に、細かい光の波になって戦いでいた。

「さあ、どっちが多いでしょ」

「俺のほうが多いぞ」

朱実は、武蔵の籠へ手を入れて、

「だめ! だめ! これは紅茸、これは天狗茸、これも毒茸」

ぽんぽん選り捨ててしまって、

「私の方が、こんなに多い」

と、誇った。

「日が暮れる――帰ろうか」

「負けたもんだから」

朱実は、からかって、雉子のような迅こい足で、先に山道を降りかけたが、急に顔いろを変えて、立ちすくんだ。

中腹の林を斜めに、のそのそと大股に歩いて来る男があった。ぎょろりと、眼がこっちへ向く。おそろしく原始的で、また好戦的な感じもする人間だった。獰猛そうな毛虫眉も、厚く上にめくれている唇も、大きな野太刀も鎖帷子も、着ている獣の皮も。