Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
二
――宮本武蔵という、まだ聞いたこともない田舎者の剣のために。
二
事件の起りはこうである。
――作州吉野郷宮本村の牢人宮本武蔵という者ですが。
と、今日玄関へ来て訪れた田舎者があるという取次の言葉であった。居合わせた連中が興がって、どんな男かと訊ねると、取次のいうには、年の頃はまだ二十一か二、背は六尺に近く、暗やみから曳きだした牛のようにぬうとしている、髪は一年も櫛など入れたことがないらしく赤くちぢれたのを無造作に束ね、衣服などは、無地か小紋か、黒か茶か、分らないほど雨露に汚れていて、気のせいか臭いような気さえする。それでも背中には、俗に武者修行袋とよぶ紙撚網に渋をひいて出来ている重宝包みを斜めに背負いこんでいる所、やはり近頃多い武者修行を以て任じているらしくあるが、何としても間が抜けた若者だ――ということであった。
それもいい。お台所で一食のおめぐみにとでもいうことか、この広大な門戸を見て、人もあろうに当流の吉岡清十郎先生に試合をねがいたいという希望だと聞いたから、門人たちは吹きだしてしまった。追ッ払え、という者もあったが、待て待て何流で誰を師にして学んだか訊いてやれという者もあって、取次が面白半分に往復すると、その返辞がまた振っている。