Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
四
野武士の専業者は、そのために縄張りを守ることが厳密だった。もし、他の者が、自己の職場を犯したと知ったら、ただはおかない鉄則がある。必ず残酷な私刑によって自己の権利を示すのだった。
「どうしよう?」
朱実は、それを恐れるもののように、戦慄した。
「きっと、辻風の手下が、来るにちがいない……来たら……」
「来たら、俺が、挨拶してやるよ、心配しないがいい」
山を降りて来たころ――沢はひっそり黄昏れていた、風呂の煙が一つ家の軒からひろがって、狐色の尾花の上を低く這っている。後家のお甲は、いつものように、夜化粧をすまして、裏の木戸に立っていた。そして、朱実と武蔵が、寄り添って、帰ってくる姿を見かけると、
「朱実っ――、何しているのだえっ、こんな暗くなるまで!」
いつにない険のある眼と声があった。武蔵は、ぼんやりしていたが、この小娘は、母の気持に何よりも敏感である。びくッとして、武蔵のそばを離れたと思うと、顔を紅めながら、先へ駈けだしていた。
四
辻風典馬のことを、あくる日、朱実から聞かされて、急に慌てたらしいのである。
「なぜもっと早く、いわないのさ!」
お甲後家は、叱っていた。