Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
馬は馬でも
泥田にすめば
やれ踏め、やれ負え
年がら貧
貧――貧――貧
前に歩いてゆく牛方は、
「おや?」
振向いたが、何も見えないのでまたそのまま歩みだした。
ピキ、ピーの
トッピキピ
牛方は、手綱を抛りすてて、車のうしろへ廻って来た。拳をかためて、いきなり、
「この野郎」
「ア痛っ」
「なんだって車の尻になど乗ってけつかるか」
「いけないの」
「当りめえだ」
「おじさんがひっぱるわけじゃないからいいじゃないか」
「ふざけるなっ」
城太郎の体は鞠みたいに地上へ弾んで、ごろんと、並木の根まで転がった。
嘲笑うように牛車の轍は彼を捨てて行った。城太郎は腰をさすって起き上がったが、ふと妙な顔して地上をきょろきょろ見まわし始めた――何か紛失し物でもしたような眼で。
「あれ? ないぞ」
武蔵の手紙を届けた吉岡道場から、これを持って帰れと渡されて来た返辞である。大事に竹筒へ入れて、途中からは、紐で首へかけて歩いていたのが――今気がついてみると、それがない。
「困った、困った」
城太郎の探す眼の範囲はだんだん拡がって行った。――と、その態を見て笑いながら近づいて来た旅装いの若い女性が、
「何か落したのですか」