Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
多年、この作品を介して、著者へよせられた読者の垂愛にたいして、私はそうならずにいられないとみえる。
一例にすぎないが、京都の桜の画家といわれた故K・U氏は、生活苦のはて、一家心中をこころにきめた日、たまたま、その日の夕刊に、武蔵が朝熊山をのぼる一章を読み、死をおもいとどまったのでしたと、後に朝日のT学芸部長を通じ、私を訪われて語られたことなどある。水泳の古橋選手も、将棋の升田八段も、この書のどこかを自身の精進に生かし得たということを、人づてに聞かされもした。こういうとき、私は、よろこびと張合いを感じもするが、より以上、苦痛にも似た自責をおぼえないではいられない。
さきに影響といったが、読者が、作家に与える影響というものもありうる。あるいは、いつかしら、私は多分に、読者から影響されていた者かも知れない。
大衆のなかに机をおき、大衆の精神生活と共にあろうとする文学の業は、孤高の窓で蘭を愛するようなわけにゆかないのがほんとだろう。ほんとに権化したらもっと恐い宿命の文学かも知れないのだ。
宮本武蔵の疑義されやすい点は、そして時には書評的な誤解をうけるのも、剣に象徴された人間や、封建の種々相などにあるのであろう。