Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

――先の右側か、よしよしわかる」

板の間の棚に、三人分の衣服が脱いであった。武蔵のを加えて四人分になる。戸をあけて、湯気の中へ入ってみると、先に入っていた客たちは、何か陽気に話していたが、彼の逞しい裸体を仰いで、異分子を見るように、口をつぐんだ。

「むーム」

武蔵の六尺に近い体を沈め込むと、湯槽の湯は、外で細い脛を洗っている三名を浮かして流すほど、溢れ出した。

「? ……」

一人が、武蔵のほうを振り向いた。武蔵は湯槽のふちを枕にして、眼をつむっている。

そこで、すこし安心したのか、三名は途絶えていた話のつづきに入って――

「なんといったかな、先ほど参った柳生家の用人は」

「庄田喜左衛門だろう」

「そうか。――柳生も用人を使いに立てて試合を断るようでは、名ほどのこともないと見えるぞ」

「誰に対しても、近頃は、あの用人がいったように、石舟斎は隠居、但馬守儀は、江戸表へ出府中につき――という口上で、試合を謝絶しているのだろうか」

「いや、そうじゃあるまい。こちらが、吉岡家の次男と聞いて、大事を取り、敬遠したに相違ないさ」

「御旅中のお慰みにと菓子などを持たせて寄こしたところは、柳生もなかなか如才ないではないか」