Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
三
「よいしょっ」
待ち構えていた又八は、とたんに両手の刀を揮り降ろしたが、典馬の勢いは、その迅さも及ばなかった。彼の刀の鐺のあたりを、又八の刀が、かちっと打った。
お甲は、隅へ退いて立っていた、その跡の位置に、武蔵は黒樫の木剣を横に撓めて待っていた、そして典馬の脚もとを目がけて、半身を投げ出すように烈しく払った。
――空間の闇が、びゅっと鳴る。
すると相手は、身をもって、岩みたいな胸板をぶつけて来た。まるで大熊に取っ組まれた感じだ、かつて武蔵が出会ったことのない圧力だった。咽喉に、拳を置かれて、武蔵は、二つ三つ撲られていた、頭蓋骨が砕けたかと思うほどこたえる、しかし、じっと蓄えていた息を、満身から放つと、辻風典馬の巨きな体は、宙へ足を巻いて、家鳴りと共に壁へぶつかった。
三
こいつと見こんだら決して遁さない――噛ぶりついてもあいてを屈伏させる――また、生殺しにはしておかない、徹底的に、やるまでやる。
武蔵の性格は、元来そういう質なのだ、幼少からのことである、血液の中に、古代日本の原始的な一面を濃厚に持って生れて来たらしい、それは純粋なかわりに甚だ野性で、文化の光にも磨かれていないし、学問による知識ともまだなっていない生れながらのままのものだった。