Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
武蔵の髪の毛は逆立っていた、耳のそばを、風がうなって流れる、愉快のなんのって、たまらない快感だった、武蔵の血は、身の駈けるほど、獣に近い欣びにおどった。
――ぎゃっッ。
彼の影が、典馬の背へ、重なるように躍びかかったと見えた時に、黒樫の木剣から、血が噴いて、こうもの凄い悲鳴が聞えた。
もちろん辻風典馬の大きな体は、地ひびきを打って、転がったのだ。頭蓋骨は、こんにゃくのように柔らかになり、二つの眼球が、顔の外へ浮かびだしていた。
二撃、三撃と、つづけさまに木剣を加えると、折れたあばら骨が、皮膚の下から白く飛びだした。
武蔵は、腕を曲げて、額を横にこすった。
「どうだ、大将……」
颯爽と、一顧して、彼はすぐ後ろへ戻って行くのである。なんでもないことのようだった。もし先が強ければ、自分が後に捨てられてゆくだけのこととしかしていなかった。
「――武蔵か」
遠くで又八の声がした。
「おう」
と、のろまな声をだして、武蔵が見まわしていると、
「――どうした?」
駈けてくる又八の姿が見えた。
「殺った。……おぬしは」
答えて、問うと、
「俺も、――」
柄糸まで血によごれたものを武蔵に示して、