Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
悪蔵とは、武蔵のこと、戦から帰って、ここに隠れておろうがの」
「いいえ……」
肉親の弟のことを、ずけずけいわれたので、お吟は白けた顔に唇を噛んだ。お通は気の毒になって、武蔵のすがたを、今日の灌仏会で見かけたと側から告げて、
「ふしぎでございますね、ここへも来ないとは?」
と双方の間をとりなした。
お吟は、苦しげに、
「……来ておりません、姿を見せたなら、そのうちには、参りましょうが」
すると、お杉の手が、とんと畳をたたいた、そして、舅のような恐い顔をしていった。
「なんじゃ、今のいい草は。そのうちに参りましょうで、よう済ましていられたもの。そもそも、わしがとこの息子を唆して、戦へつれ出したのは、ここの悪蔵じゃないか。又八はな、本位田の家にとっては、大事な大事な、後継じゃぞ。それを――わしの眼をぬすんで誘き出したばかりか、おのれ一人、無事にもどって来て済むものか。……それもよい、なぜ、挨拶に来さっしゃらぬ、自体この新免家の姉弟は、小癪にさわる、この婆を何と思うていなさるのじゃ。さっ……おのれが家の武蔵が帰って来たからには、又八も、ここへ帰してくだされ、それが出来ねば、悪蔵めをここへすえて、又八の安否と落着きをこの婆に得心がなるように聞かしてもらいましょう」