Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

「まあ、そうだな」

「アア心ぼそい」

何かすこしは自信があるのであろうと、密かに頼りを持っていたお通も、今は、ほんとに心細くなって来たらしい。

――馬鹿かしら? この人は。

すこし気が狂れている人間は、時には、偉い者のように買いかぶられる場合があるから、沢庵さんも、その例かも知れない。

お通は疑いだした。

しかし、沢庵は、相変らず漠とした顔つきを焚火にいぶして、

「もう夜半だな」

今気がついたように呟く。

「そうですよ、すぐに、夜が白むでしょう」

わざと、お通が、切り口上でいってやると、

「はてな? ……」

「何を、考えているのです」

「もう、そろそろ、出て来なくちゃならんが」

「武蔵さんがですか」

「そうさ」

「たれが、自分から捕まえられに来るものですか」

「いや、そうでないぞ。人間の心なんて、実は弱いものだ。決して孤独が本然なものでない。まして周囲のあらゆる人間たちから邪視され、追いまわされ、そして冷たい世間と刃の中に囲まれている者が。……はてな? ……この温かい火の色を見て訪ねて来ないわけがないが」

「それは、沢庵さんの独り合点というものではありませんか」

「そうでない」