Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
何処へか連れて行こうとするのである。この人に手向う力はなかった。武蔵は、沢庵の行くままに歩いた。また、樹の上か、それとも今度は藩の牢獄か。
おそらく、姉も城下の獄に繋れているのであろう。そうなれば、姉妹ひとつ蓮の台だと思う。どうしてもない一命とすれば、せめて、
(姉と一緒に――)
武蔵はひそかに心で願った。
白鷺城の巨大な石垣と白壁が、眼のまえに仰がれた。大手の唐橋をずかずかと沢庵は先に立って渡って行くのである。
鋲打の鉄門のかげに、槍ぶすまの光芒を感じると、さすがに、武蔵もためらった。
沢庵は、手招きして、
「はやく来ぬか」
多門を通ってゆく。
内堀の二の門へかかる。
まだ泰平に落着き切れない大名の城地であった。藩士たちも、なん時でも戦にかかれる緊張と姿をもっていた。
沢庵は、役人を呼びたてて、
「おい、連れて来たよ」
と武蔵の身を引き渡し、そして、
「頼むぞ」
と念をこめていうのである。
「は」
「――だが、気をつけないといかぬぞよ、これは牙の抜いてない獅子の児だからな。まだ多分に野性なのだ。いじり方が悪いとすぐに噛みつくぞ」
いいすてて、二の丸から太閤丸のほうへ案内なしに、行ってしまった。