Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

なんだ、二人や三人の暮しぐらい」

「それ程、石かつぎや、材木曳きがしたいなら、自分だけここを出て、独り暮しで土方でも何でもしたらいいじゃないか。おまえさんは、根が作州の田舎者、そのほうが生れ性に合っているのでしょ。何も無理にこの家にいてくれと拝みはしませんからね、どうか、いやなら何時でもご遠慮なく――」

くやし涙を溜めている又八の眼の先から、お甲も去り、朱実も去った。――そうして二人のすがたが眼の前からいなくなっても、又八は、一方をにらみつけていた。

ぼろぼろと湯のわくように涙が畳へ落ちる。今にして悔やむことはすでに遅いが、関ヶ原くずれの身を、あの伊吹山の一軒家に匿まわれたことは、一時は、人の情けの温かさに甘え、生命びろいをした幸運に似ていたが、実はやはり敵の手に擒人となってしまったも同じであった。――正々堂々、敵に捕われて軍門に曳かれた結果と、多情な後家のなぐさみものになって、生涯男がいもなく悶々と陽かげの悩みと侮蔑の下に生きているのと、いったいどっちが幸福であった? ――あの人魚を食ったようにいつまでも若くて、飽くなき性の脂と白粉と、虚慢ないやしさを湛えているすべた女に、これからという男の岐れ道をこうされて。