Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

「そのかわり、おらが、お酒の燗をしよう。お酒の燗は、馴れているから」

炉のぬく灰に、壺を埋けて、

「おじさん、もういいよ」

「なるほど」

「おじさん、酒好きかい」

「好きだ」

「だけど、貧乏じゃ、飲めないね……」

「ふム」

「兵法家っていうのは、みんな大名のお抱えになって、知行がたくさん取れるんだろう。おら、店のお客に聞いたんだけど、むかし塚原卜伝なんかは、道中する時にはお供に乗換馬を曳かせ、近習には鷹を拳にすえさせて、七、八十人も家来をつれて歩いたんだってね」

「うむ、その通り」

「徳川様へ抱えられた柳生様は江戸で、一万一千五百石だって。ほんと?」

「ほんとだ」

「だのに、おじさんはなぜそんなに、貧乏なんだろ」

「まだ勉強中だから」

「じゃあ、幾歳になったら、上泉伊勢守や、塚原卜伝のように、沢山お供をつれて歩くの」

「さあ、おれには、そういう偉い殿様にはなれそうもないな」

「弱いのかい、おじさんは」

「清水で見た人々が噂しておるだろうが、なにしろおれは、逃げて来たのだからな」

「だから近所の者が、あの木賃に泊っている若い武者修行は、弱い弱いって、この界隈じゃ評判なんだよ。――おら、癪にさわって堪らねえや」