Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

も、気の縮むように告げるのであった。

「ははあ」

武蔵は、そこの上がり框に腰を掛けたまま、門へ出ようともせず、二階へ戻ろうともしない。

「般若坂で、拙者を待ちうけるのだろうと、いっていましたか」

「場所はよう分りませぬが、その方角へ行きました。宅の主もびっくりして、町の衆がいううわさを問い糺してみると、宝蔵院のお坊さまばかりでなく、所々の辻口に、奈良の牢人衆がかたまって、きょうは宮本という男を捕まえて、宝蔵院へ渡すのだといっているそうです。――何かあなたは、宝蔵院の悪口をいって歩きましたか」

「そんな覚えはない」

「でも、宝蔵院のほうでは、あなたが人をつかって、奈良の辻々に落首を書いて貼らせたと、ひどく怒っているそうです」

「知らんな、人違いだろう」

「ですから、そんなことで、お命を落しては、つまらないではございませんか」

「…………」

答えるのを忘れて、武蔵は軒ごしに空を見ていた。思いあたるところがある。きのうだったか一昨日だったか、彼の頭にはもう遠いことみたいに忘れていたが、春日下で賭試合の興行をやるから仲間に入らないかとすすめに来た牢人者の三名連れ。

たしか一人は山添団八といい、後二人は野洲川安兵衛に大友伴立とかいった。