Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

用意して来た奈良晒布を一反も裂いて、坊主たちは、槍を拭いていた。その坊主たちも、武蔵と胤舜が、焚火に向って膝をならべている姿を見て、すこしも不審としていない。当然のように、自分たちも、やがて打ち混じって、雑談を始めるのだった。

「――見ろ、あんなに」

一人が空を指さし、

「もう鴉のやつが、血を嗅ぎつけて、この野にあるたくさんの死骸に喉を鳴らしてやって来た」

「――降りて来ないな」

「おれたちが去れば、争って死骸へたかる」

そんな暢気な話題さえ出る。武蔵の不審は、武蔵から質問しなければ誰も語ってくれそうもない。

胤舜に向い、

「実は、拙者はあなた方こそ、今日の敵と思い、一人でもよけいに冥途へお連れ申そうと、深く覚悟していたのですが、それが却って拙者にお味方下さるのみか、どうしてかようにおもてなし賜わるのか、不審でならぬが」

すると胤舜は、笑って、

「いや貴公にお味方した覚えはない。ただすこし手荒ではござったが、奈良の大掃除をしただけのことです」

「大掃除とは」

その時、胤舜は、指を彼方へさして、

「そのことは、てまえからお話しするより、あなたをよく知っている先輩の日観師が、お目にかかって親しくお話し申すでしょう。