Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
「それから」
「畑が青い。麦の根がよく踏んである。戸ごとには、糸をつむぐ音がするし、百姓は、道をゆく他国の者の贅沢な身装を見ても、さもしい眼をして、仕事の手を休めたりしない」
「それだけ?」
「まだある。ほかの国とちがって、畑に若い娘が多く見える。――畑に紅い帯が多く見えるのはこの国の若い女が、他国へ流れ出ていない証拠だろう。だからこの国は、経済にも豊かで、子供はすこやかに育てられ、老人は尊敬され、若い男女は、どんなことがあっても他国へ走って、浮いた生活をしようとは思わない。従って、ここの領主の内福なことも分るし、武器の庫には、槍鉄砲がいつでも研きぬいてあるだろうという想像もつく」
「なんだ、なにを感心しているのかと思ったら、そんなつまらないことか」
「おまえには面白くあるまいな」
「だって、おじさんは、柳生家の者と試合をするために、この柳生谷へ来たんじゃないか」
「武者修行というものは、何も試合をして歩くだけが能じゃない。一宿一飯にありつきながら、木刀をかついで、叩き合いばかりして歩いているのは、あれは武者修行でなくて、渡り者という輩、ほんとの武者修行と申すのは、そういう武技よりは心の修行をすることだ。