Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
石舟斎が、二ノ丸にも本丸にも住まわず、城地のどこかに、一庵をむすんで余生を送っているということは、綿屋の主からも聞いていたことだ。その草庵さえわかれば、直接、戸をたたいて、彼は、決死の見参をするつもりなのである。
(何処だ!)
彼は、叫びたい感情で、夢中になって歩いていた。ついには、笠置の絶壁へまで出て、搦手の柵からむなしく引返した。
(出て来いっ。おれの相手たらん者は)
妖怪変化でもよいから、石舟斎になって、ここへ現われて来てほしかった。四肢にみなぎっている満々たる闘志は、夜もすがら彼を悪鬼のように歩かせた。
「あっ? ……おお……ここらしいぞ」
それは城の東南へ降りたゆるい傾斜の下だった。その辺の樹木を見ると、みな姿がよく、鋏や下草の手入れがよくゆき届いていて、どうあっても、人の住んでいる閑地らしい。
門がある!
利休風の茅ぶき門で、腕木には蔓草が這い、垣のうちには、竹林が煙っていた。
「オオ、ここだ」
覗いてみると、禅院のように、道は竹林を通って、高いその山の上へと這っているのだ。武蔵は、一気に垣を蹴やぶって入り込もうとしたが、
「いや待て」
門のあたりの清掃された床しさや、あたりに白くこぼれている卯の花の何となく主人の風を偲ばせるものに、猛りきっている心を宥められて、ふと、自分の鬢のみだれや、襟元に気がつい