Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みやもとむさし
宮本武蔵(一)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme
彼女はそれが口惜しかった。
あの人の志が今何を目的としているか、また、何のために自分を避けて行ったのか、それは姫路の花田橋の時からよく分っている問題である。けれど彼女としてはこう思う。
(どうして私に会っては、その志の邪魔になるのか?)
また、こうも思った。
(それはいいわけで、私が嫌いなのか?)
だが、お通は、七宝寺の千年杉を幾日か見つめて、武蔵がどういう男性であるかを十分に識りつくしていた。女にうそをいうような人ではないと信じている。嫌ならば嫌といいきる人なのだ。その人が、花田橋では、
(決して、そなたが嫌いなわけではない――)
といった。
お通は、それを恨みに思う。
では自分はどうしたらいいのか。孤児というものには一種の冷たさとひがみがあって、めったに人を信じないかわりに、信じたからには、その人よりほかに頼りも生きがいもないように思い込むものだ。まして自分は本位田又八という男性に裏切られている。男性を見ることに深刻になるべく教えられた揚句なのだ。この人こそ世の中に少ない真実の男性と見て生涯をも決めて歩いて来たのである。どうなっても後悔はしないという覚悟で。