Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(一)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(一) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 231.525 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

「いや、もう酒は……」

最初のえらい権幕は何処へやら、どじょう髯は、猫のように、態度をあらためて、

「――左様でござったか、それがしの主人勝入斎輝政様と、ご入懇であろうとは、いや、存じも寄らず、失礼のだんは幾重にもひとつ御用捨のほどを」

おかしいくらい恐縮する。

だが沢庵は、敢えて、高いところへ納まり返りはしなかった。

「まアまア、そんなことは、どうでもよろしいとしよう。要は、武蔵をいかにして召捕るか。つまるところ、尊公の使命も、武士たる面目も、そこにかかっておるのじゃないか」

「左様で……」

「其許は、武蔵の捕われが、遅れれば遅れるほど、安閑と、寺に泊って、据膳さげ膳で、お通さんを追い廻していられるから関うまいが……」

「いや、その儀はもう……何分とも、主人輝政へも」

「内分にでござろう、心得ておるよ。――しかし、山狩山狩と、掛け声ばかりで、こう延び延びになっていては、農家の困窮は固より、人心恟々、良民は安んじて業に励しむことはでけん」

「されば、それがしも、心の裡では、日夜焦慮いたしていないこともないので」

「――策がないだけじゃろ。つまり豎子、兵法を知らんのじゃ」