Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじせそうひゃくわ

明治世相百話

山本 笑月

Lesen Sie 明治世相百話 (めいじせそうひゃくわ) von 山本 笑月 (やまもとしょうげつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 128.862 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

悠長な交通機関

その後、友人某も同所で稽古中、件の巡査に襲われ、驚いて農工銀行の作業場へ逃げ込む途端、慌てて板塀の破れ穴へ顔を突っ込み、二、三カ所のみみず腫れ、這々の体で銀座裏の自宅へ戻り、顔の手入れの最中、表へ来客、なんの気なしに自分で出て見ると、なんとこれが件の巡査。自転車屋で調べた結果、かんかんになって追撃、顔のみみず腫れが免れぬ証拠で「やあ、貴様だな」と改めて訪問、ちょっと来いというのを平あやまり、再びあすこへは参らぬとの誓文でようやく、けり。

悠長な交通機関

荷足の早船から巡航船

猪牙で行くのは深川通い、八丁堀の仲ノ橋から乗合の荷足舟、「早船・洲崎ゆき」と書いた川岸の小旗が目印、十二、三人の客を待つ間に「出ますよ出ますよ」とベルを鳴らす。素見らしい若いのが一人二人、ぽつねんと胴の間に退屈らしく待っている呑気な姿も、江戸時代の名残りめいてちょっとオツだ。

まもなくこの荷足の競争者として現われたのが、巡航船、明治三十二、三年頃から新橋洲崎間を往復、例の石油発動機の小型船で、胴の間に薄べり、汚れた更紗の座蒲団を敷いて乗客は大あぐら、あるいは寝ながら講談本、艫の方で発動機の音ポコンポコン、これが三浦三崎の鰹船でなくて、かりにも東京の真中、新橋から出て銀座裏の三十間堀を通航する新式の交通機関なのだから笑わせる。