Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
Lesen Sie 明治世相百話 (めいじせそうひゃくわ) von 山本 笑月 (やまもとしょうげつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 128.862 Zeichen · 251 Bildschirme
初めての洋風温室
初めての洋風温室
滅法高かった草花の種子
朝顔や秋草に交って西洋草花がぽつぽつ売りだされたのは明治二十年頃、それから四、五年の後までは、温室など、小石川の植物園にあったほか、民間には入谷の花戸入十だけで、これは本式に汽缶を据え付けて各種の洋花を仕立てた。主人みずから温室内に寝泊りして温度の調節を計るなど、最初の試みだけに大骨折り。
細い幹で五間ぐらいの長さある電信木や、額になった大コウモリ蘭などを始め、ベコニヤ、シネラリヤ、ホクシヤの如き今日平凡の洋花、当時は色とりどりの美しさに驚異の目を見張って大いに珍しがったものだ。そこで私も感歎のあまり小さい温室を設ける気になって、約十坪の地を三尺掘り下げ、石造にして、硝子張りの屋根等お約束通りに出来、一隅に小型の汽缶を据え付け、鉄管を通じてまずよしと安心。
然るに試験して見ると、汽缶は十二分に沸き立ちながら、鉄管へは熱湯少しも通ぜず、夜通し焚いても依然温度上らず、こんな筈ではなかったがと、汽缶職工を責めて幾度改良しても、最初の設計を誤ったため結局大失敗、そのうち春も三月となってもう温室も間に合わず、それでも牡丹、藤、海棠など収容し、炭団の火で温度を保ち、四月はじめにぽつぽつ咲いたのがせめてもの腹癒せ。