Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじせそうひゃくわ

明治世相百話

山本 笑月

Lesen Sie 明治世相百話 (めいじせそうひゃくわ) von 山本 笑月 (やまもとしょうげつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 128.862 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

裏木戸の柱に木札が下って「御用の方は女中へお申し聞け下さい」。

面会不能で通った先生が、なんたる幸いぞ、逢おうという御通知、さっそく参上して裏木戸を無事に通過、庭先から奥の八畳の客室へ罷り通った。なんら気取った装飾もなく、床には名を忘れたが勤王家らしい人の書幅、紫檀の机を中央に主客相対す、先生は古風なネルのシャツに荒い縞物の綿入れ、薩摩絣の羽織という木綿ずくめに当方のべんべら、いささか面目ない。

艶のよい丸顔で、小肥りのがっちりした体格、一言一句真心の籠ったような話振り、にこにこと優しい目でじっと見られる。私は思わず敬虔の念に打たれてなんとなく胸がいっぱい、この時の印象は深く頭に残っている。用談後は一層うちとけて近々洋行の準備やら聖地巡遊についての話があってお暇、庭先まで送って出られ、一本の若松を指さして、「ちょっと見て下さい、この松はここへ来た当時ほんの小松を自分で植えたのがこんなに大きくなりました」と、多少感慨の体。

『不如帰』でも知らるるとおり、先生の著作を一冊出せば本屋は身上が建て直る。その上に店の格が上るので、なんとかしてと望んでも、それはまず不可能で、その許しを得たのは二、三に過ぎぬ。