Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
侫臣ながらも洞院左膳は、さすがは戦場往来の武士、顔に太刀傷さえ受けたほどの武功のもののふのことであれば、豪勇無双の盛常も左右なく打ち破って通りも出来ず一月二月三月四月、いつか四月も打ち過ぎて、山杜鵑啼き渡る五月上旬とはなったけれど、一勝一敗のセリ戦さ、どうやら持久戦になったらしい。
こうして合戦が長びくにつれて国内の飢餓は日一日と、益※(二の字点、1-2-22)暴威を逞しゅうし、とうとう町々辻々に餓横仆わる有様となった。
そして、かつては木曽の人達から、
木曽へ木曽へとつけ出す米は
伊那や高遠の余り米
と、歌にさえ作られて唄われた、その豊饒の伊那平野には青い物の影さえ見られなくなった。
一日一日と屍骸は増え、道に横仆わった屍骸をめがけて幾百ともない烏の群が遠い国から集まって来た。号泣、憤怒、怨恨、呪咀、そして町々辻々からは腐った屍骸の悪臭が昼夜となく立ち昇った。
この生地獄の修羅の場で、たった一つだけ餓鬼どもから、仏とも阿弥陀とも思われて、その来迎を待ちわびられる一人の不思議な老人があった。
今から一月以前であるが、どこからともなく飄然とその老人はあらわれた。