Classici giapponesi con furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Leggi 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 335.908 caratteri · 669 schermate
それともそちのその言葉が誠真実であるならば、その仇の名を云うて見よ! そちを殺したその後でそちに代ってこの甚五衛門が必ず仇を討ってやる。さあ仇の名を云うがよい!」
「はい、その仇と申しますは……」
「うむ、その方の仇と云うは?」
「…………」鳰鳥は黙ってうつむいた。
「さあ仇の名を名のるがよい――それとも偽りを申したのか?」
「何んの偽りを申しましょう! 嘘は決して申しませぬが、あなたの前で仇の名を、申し上げることも出来ませぬ」
「云わないとなら訊きはせぬ。命惜しさの拵え事、この甚五衛門は瞞されぬぞ……さあ手を合わして尋常に成敗の刃を受けるがよい。亡き後は篤く葬うてやる」
甚五衛門は抜いた太刀を大上段に振り冠りサッと肩先へ切り付けた。鳰鳥はハッと身を転し、危く初太刀を遁がれたが、そのままバタバタと大岩の上を山手の方へ逃げて行った。
「狼藉者でござります! どなたかお出合いくださりませ! 人殺し人殺し人殺し」
逃げながら鳰鳥は叫ぶのであった。どのように泣こうが叫ぼうが、あたりには一軒の家もない。まして助ける人もない。ただ森々たる山気を通してどうどうと流れる木曽川の水が岩に遮かれて咽ぶばかり。