후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
「いま来るお客さま、中国のひとです。女の法学博士です」
そのひとが伸子に会おうという動機は何なのだろう。
「でも、わたしたち――そのかたとわたし、どういう言葉で話せるのかしら――わたしのロシア語はあんまり下手です」
「そのご心配いりません。英語、達者に話します」
また時計をみて、クラウデは椅子から立ち上った。
「御免下さい。もう時間がありませんから、わたくし、失礼して仕度いたします」
薄暗い奥の方で書類らしいものをとりまとめてから、クラウデは低い衣裳箪笥の前へもどって来た。そこの鏡に向って、禿げている頭にのこっている茶色の髪にブラッシュをかけはじめた。はなれた窓ぎわに、クラウデの方へは斜めに背をむけて伸子がかけている。その目の端に思いがけないピノーのオー・ド・キニーヌの新しい瓶が映った。伸子は駭きににた感じをうけた。モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で、この雑然として薄暗い独身男の室で、子供のときから父親の匂いと云えば体温にとけたその濃く甘い匂いしか思い出せないオー・ド・キニーヌの真新しい瓶を見出したのは意外だった。この化粧料はあたりまえではモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)で買うことの出来ないものでもある。