후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
六
ウィーンの下宿がそうであったように、ここも持主の住んでいる部屋の入口は別で、ひろやかで明るいエレヴェーターぐちをとりまいて、いくつかのドアのある建てかただった。
灰色っぽい小粋ななりをした、賢い目つきの五十がらみの主婦が、あっさりした態度で、蜂谷良作と伸子にその室を見せた。貸室はエレヴェーターを出て、右手に両開きのドアをもった部屋だった。
ドアがあいて、室内がひとめに見えたとき、伸子は、自分の住めるところではないと感じた。横長くひろびろとしたその室のヴェランダと、大きい二つの窓は、晩秋の色にそまった並木越しに凱旋門の一部を見晴らした。いかにもシャンゼリゼの近くらしい贅沢で逸楽的な雰囲気の部屋であった。この部屋のもち主は、能率よくこの部屋を働かせるために、これまで住んでいた人たちが立つと、すぐその日の午後であるきょうの三時から五時まで面談と新聞広告をだしたにちがいなかった。目を見はらせる室の眺望とともに、これまで住んでいた人の暮しのぬくもり、女がつかっていた香水ののこり香さえまだどこかに漂っている。
もと住んでいた人たちというのは男と女であり、夫婦であって夫婦でないようなつながりで、この美しい眺めの一室に贅沢な拘束のない生活をしていた、そんな風に感じられた。