일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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どうひょう

道標

宮本 百合子

宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면

아오조라 문고

ありがとうという言葉は夫人として云わない習慣らしかった。

こういう贈呈の儀式がすむと、夫人は再び黙りこんだ。瀬川雅夫の言葉は自由でも、それを活用する自然なきっかけが明るい寒色の広間のどこにもなかった。三人は、そこで、会見は終ったものとしてそとに出た。

ドアをしめるのを待ちかねたようにして、素子が、

「おっそろしく気づまりなんですね、文化連絡って、あんなものかい」

と、ひどくおこった調子で云った。

「どんなえらい女かしらないけれど、ありがとうぐらい云ったって、こけんにかかわりもしまいのに」

瀬川はおどろいたように鼻の下の黒い髭を動かして、

「云いましたよ! ね、云ったでしょう?」

並んで歩いている伸子をかえりみた。

「さあ……わたしは、ききませんでした。――いつも、ああいう人なの?」

「そうですか? 変だなあ、……云いませんでしたか。云ったとばかり思ったがな」

「――まるでお言葉をたまわる、みたいで、おそれいっちまうな」

瀬川は、素子のその言葉は上の空にきいて、内心しきりに、夫人がありがとうと云わなかったというのが事実だったかどうか、思いかえしている風だった。

そこへ、廊下のかどからノヴァミルスキーが出て来た。