후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
いま公使館の客間は五月の深い新緑に青ずんでしまっている。ここへはじめて川辺みさ子が日本服姿を現したとき、まだ傷けられず、うちのめされていない彼女の気魄はとうとうウィーンに来たという亢奮でどれほどたかまって表現されたか。その情景は伸子にも思い描かれるようだった。
三四年みっちり稽古すれば月光の曲ぐらいは一人前に弾けるようになるだろうと、そのままをウィーンのその教授が云ったのだろうか。川辺みさ子は、日本に一つしかない官立音楽学校教授という肩書のまま遊学した。そして、そのベートーヴェンの演奏で世界をふるわせることができると信じてウィーンへ着いた。川辺みさ子が、そういう評価を与えられたとき、そしてその噂がおどろきに人々に顔を見合わさせながら野火のように彼女の周囲の日本人間にひろまって行くのを見たとき、十四歳で音楽修業をしている少女にとってそれは運指法の問題でありえたとしても川辺みさ子にとっては、生涯の暗転の瞬間であった。三十歳になっている伸子にはっきりそう理解された。自分の仕事というものによって工面した金で外国を女旅している伸子には川辺みさ子の経済問題も深刻にうかがわれた。