후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
もうすっかり灯の消されている狭い入口の廊下から、主婦に導かれて爪先さぐりに三階へのぼったその部屋は、あしたの朝になってみなければ、二つの窓が往来のどっちを向いて開いているのか、方角もわからないようにとりこめた部屋だった。二つの寝台の間の壁の上に、古風なビイドロ・ガラスの笠の電燈が灯っていた。一つのドアの奥は、この幾週間もつかわれずにあるらしい浴室だった。洗面台の水が細く出るだけだった。
いくら眼を大きくしても、鈍い光の下に重い茶色の雰囲気のどぎつくないようなその室内で、伸子は部屋着に着換えた。シーツだけが白くきわだった寝台に腰かけて伸子は今夜のあらましを素子につたえた。
「なるほどねえ。ぶこちゃんも、大分ふかいところをのぞいたっていうわけだな」
ペレールの親の家を出て来て、親子の間にとりかわされた会話について話していると、伸子にはひとしお強烈な刹那の色どりをもって、夕焼雲のてりはえるようだった母と越智との感情交渉のところを思いかえした。あの、伸子の若いすこやかな理性をめまいさせそうだった多計代の女としてのゆらぎかた。――あのころ、多計代は母という自分の立場にさえ反撥しているようだった。