후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
伸子はつや子に、いそいで外出の仕度をさせ、ペレールを出た。そして、ほど近いワグラム広場のわきの服飾店で出来合いの黒い服を買った。ぬいだスカートとブラウスとをボールの小箱に入れさせて、それをつや子が散歩がてら家までもってかえるわけだった。同じ広場のカフェーでちょっと休んで、伸子は、
「そこをまっすぐ行けば、いやでも家の前へ出るから、いい? 気をつけて、ね」
紺のハーフ・コートを着たつや子のうしろ姿が、人ごみの間に見えなくなってから伸子はタクシーをひろった。
佐野学が捕まったことに連関して日本ではまた幾百人か幾千人かの労働者をこめた人々が、ひどい目にあっているに違いないのだ。
それにまるでかかわりなく、デュト街の古びた建物の中では、しみのある壁の下の寝台で磯崎が死んでいる。パリで、子供を死なせ、重ねて磯崎に死なれた須美子の孤愁は、伸子の身までを刻むかのようだ。そのような須美子に向って伸子はひたむきな心でタクシーをいそがせているのではあったが、このパリでも七月末にそんなことがあったように、日本でも多くの人々が捕えられ、歴史のなかに古い力と新しい力とが対立してはげしくもみ合っているさなかに、それとは全く無縁に磯崎の生涯が終って、そこにつきない悲しみばかりがのこされてあることは、伸子にふかく物を思わせるのだった。