후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
亀田夫妻は、どこかの裏庭のようなところに建っているかなり大きくて清潔な物置の二階を、画室兼住居にして暮して居り、蜂谷が引きうつった住居は一番電車通りに近くて、サン・トアンの九八番地だった。伸子の下宿のあるサン・クルー街からは、それらのどの住居も五分から十分の距離にちらばっていた。すべての家々と人とがクラマールの生活のなかにはまりこみ、一九二九年の秋のさなかにあるのだった。
十月二十九日のウォール街の恐慌は、クラマールでマダム・ベルネの庭の梨の木の下にいた伸子のところへ、きわめて穏やかな形であらわれた。
朝、八時半にベルネのお婆さんが、
「お早ようマドモアゼル」
おきまりの、快活な響をもった声ではあるが、ごく事務的な様子で朝の茶を運んで来た。白いナプキンのしかれた盆の上には、黄色い瀬戸ものの牛乳入れと急須とがのせられている。小さい円いパンのふたかたまり。小皿の少量のジャム。球にした四つのバタ。
あまりひろくないその部屋の大部分を占めて、寝心地のいい大きな寝台がおかれている。その裾の方に、胡桃材で作った古風な衣裳棚と並んで左の壁まできっちり机がはめこまれている。