후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
並木道も、よごれた雪の堆積がまだどっさりあるけれども、真中にひとすじ、柔かなしっとりした黒い土があらわれている。名残りの雪がその辺の到るところにあるだけに、その間にひとすじのあらわれた黒い土は、胸のときめくような新鮮さだった。艷と、もう芽立ちの用意のみえる並木道の菩提樹や楓のしなやかさをました枝のこまやかなかげは、その樹々の根っこに残雪をもって瑞々しさはひとしお感覚に迫った。
得体のしれない客に気分を圧しつけられていた伸子はしっとりした黒い土の上の道を、往き来の群集にまじって歩きながらふかい溜息をつくように、
「ああ、防寒靴をぬいでしまいたい!」
と云った。冬のぼてついたものは、みんな体からぬいでしまいたい。早春の日曜日の並木道は、すべての人々をそういう心持にさせる風景だった。それでも、モスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)人は北方の季節の重厚なうつりかわりをよく知っていて、まだガローシをぬいでいるものはなかったし、外套のボタンをはずしているものもなかった。とける雪、暖くしめった大地、芽立とうとしている樹木のかすかな樹液のにおい。それらが交りあって柔かく濃い空気をたのしみながら、伸子と素子とはしばらくだまって並木道を歩いて行った。