후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
「御覧なさい――カチャーロフのエルシーニンは、この場面で、はじめてやや目立って来たでしょう」
観客たちは、ほんとに自分たちのために芝居をして貰って、それを観ているといううちこみかただった。伸子たちのいる棧敷から一段低い平土間席から二階のバルコンの奥まで、見物はぎっしりつまっていた。子供は見あたらないが、あらゆる服装、あらゆる顔立ちの老若男女が、薄明りのさす座席から身じろぎもしないで数千の瞳を舞台に集注しているのだった。この劇場の中で観客はどっちかというと遠慮ぶかく、つつましい感じに支配されているらしいのに、或るところへ来ると、猛烈な拍手が湧きたって場内をゆすぶった。どうみても、それはカチャーロフの芸達者に向ってだけ与えられる賞讚ではなかった。そのとき観客はパルチザンの判断と行動とに同感するのだ。
М・Х・Тの由緒ふかいリアリズムの舞台と観客席とを、こんな情熱でつないでいる新しい情景に伸子は感動した。ロシアがソヴェトになってから、芝居も小説も、それまでとすっかりちがったものになったということが実感された。場内をうずめている観客のなかには、一九一七年から二〇年までの間に、実際このパルチザン・エルシーニンの物語のある部分をその身で経験した男たちがどの位いることだろう。