후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
そんな前景をぬけて、楽屋へとおり、粋な細君のあおいほそおもてを見た伸子は、歌舞伎王国を綿々と流れて大幹部の細君たちの感情とまでなっている古い格式やしきたりを、理解できるように感じた。白粉の匂いや薄べりの上にそろえられている衣裳。のんきそうで、実ははりつめられている癇が皮膚にあたるようなせまい楽屋のなかで、伸子は何を話していいかわからないで黙っていた。
手もちぶさたでぎこちない伸子にひきかえ、黙ってタバコをふかしているそのおちつき工合にも素子は、楽屋馴れしてみえた。
ひいきがいう調子で、素子は中館に、
「吉之助、いくつです?」
ときいた。
「八ぐらいじゃないんですか」
「これからってとこだな」
「――吉ちゃんは、あれで考えてますからね、ここまで出て来たってことだけでも、歌舞伎俳優としちゃ謂わば千載一遇のことなんだから、おめおめかえっちゃいられないって気もあるでしょう」
吉之助のことを云っている中館公一郎の言葉の底に、計らず中館自身の映画監督としての気がまえが感じとられ、わきできいている伸子はひきつけられた。中館公一郎は、日本の映画監督のなかでは最も期待されている一人だった。