후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
一日一日を食べて行くことさえこまかく計算されなければならないとき、外国人弟子からはおどろくような月謝をとるのが風習であるウィーンのピアノ教授への謝礼をつづけることはどうして可能だろう。川辺みさ子が、日本を出発したとき、彼女のボートは焼きすてられていた。ふたたび故国へ帰るときの川辺みさ子は、凱旋者でなくてはならなかった。川辺みさ子は、ウィーンでピアノを修業するものとしてではなく、自分のベートーヴェンで世界を征服して来る、と云って出発して来たのだったから。嫉妬ぶかい日本の音楽界は、ひとたび自分たちの耳に聞いた彼女のその言葉を忘れることはないだろう。川辺みさ子が、自分で自分をとりこにしたその言葉の垣のすき間から、彼女の一挙一動は見まもられているのだ。ウィーンでの川辺みさ子には、彼女を支持する大衆というものもなかった。よしんば音楽そのものはよくわからないにしても彼女の勇気と努力とを愛して、櫛のおちる演奏に拍手する素朴な人々はいなかった。ウィーンにいるのは、彼女の競技者である彼女より若くて富裕な人々、もしかしたら、彼女の教えた人々と、音楽の技術そのものによってでなければ彼女の存在を認めることのない世界の音楽の都であるウィーンの聴衆だけだった。