후리가나로 읽는 일본 고전
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どうひょう
道標
宮本 百合子
宮本 百合子의 道標(どうひょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 846,457자 · 1672화면
それは色彩的だった。この老夫人の次男が、クーデンホフ・カレルギー伯で、一座の会話のなかでは、パン・オイロープというよび名でよばれていた。ヨーロッパ諸国はヨーロッパ諸国だけのヨーロッパ連合をつくって、政治経済の問題を処理し、文化も守るべきであるというのがクーデンホフ・カレルギー伯の汎ヨーロッパ主義だった。体の自由はうばわれていても、この婦人の身にしみついて、いまは過渡な華やかさは消えているヨーロッパ風の社交性と東京の女らしい淡泊さは一種の洗練された雰囲気に調和されていて、彼女が、
「ああ、パン・オイロープはね、あなた、今ブルッセルでございますよ」
などと話していると、いくらか時代ばなれした日本語のつかいかたがかえってみやびやかにきこえた。
このパン・オイロープという不在のひとの名と仕事のために、ウィーンの郊外の老人の隠栖も時々は賑わされている様子だった。伸子と素子とを、この老夫人の客間へつれて行ったのは、公使館づきの武官だった。瀟洒として目立たない縞の背広を着て、春らしい灰色のソフトと鹿皮の手袋をもったその人の風采は、陸軍少佐とは見えなかった。彼は、クーデンホフ未亡人に、伸子にもパン・オイロープに賛成して、署名してもらうべきだとすすめた。