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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「さても。むずかしい地勢」

「きびしい城壁?」

これでは、いかなる策もほどこしようがない感に打たれたらしい。宋江、呉用はやがて少華山へもどって来た。しかし武松へも、まだ何らの方針がついたという相談が出ない。

すると、二日目。――かねて少華山から放ッておいた子分の一人が、県境の遠くから飛んで帰って来て、はしなく、耳よりな聞き込みをこれへもたらして来た。

「いや、えらいこってすぜ。なんでもこんど開封東京の都から、天子さまのお使いで、内殿司の大臣とかいう大官が、霊山へ献納する黄金の吊燈籠を捧げてやって来るんだそうで。へい。……え。嘘だろうッて。間違いッこあるもんですか。……なにしろ、勅願のご代参だッてんで、途々の露払いもえらい騒ぎで、見事な勅使仕立て船で、黄河から支流の渭河へ入り、ずッと華州へ下って来るそうで」

これを聞くと、呉用はハタと膝を打った。

「宋先生。もう心配はありませんな!」

「え、どうしてです?」

「聞くうちに、ふと妙計が胸にうかんできたのです。天来の声とはこれでしょう。さっそく、精密なしめし合せと、その手くばりとを」

すでに、翌朝となると、いちはやく、山を降りて行った三人がある。