轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

屋根裏に躍る“牧渓猿”と、狩場野で色を失う徐寧のこと

「もしもし、禁門の金鎗組ってな、どこを入って行ったらいいんです?」

と、往来で会った書記風の男にきいていた。

「組ではあるまい」と、書類を抱え直しながらその男は――「組の大きいのを班という。金鎗班なら彼方の一郭で、禁軍鎗隊の軍人ばかり住んでるところだ」

「その金鎗班のご師範、徐寧さんのおやしきもそん中ですか」

「班の門を入って、十字路のひだり側、そのうちで一番大きい黒塗りの門がそのお宅だよ」

「二階がありますか」

「へんなことを訊くな、きさま」

「いえなに。雨が漏るとかで、屋根瓦の葺き換えをたのまれましたんでね」

「なんだ瓦職人か」

「へい、屋根屋なんで」

「二階もあるよ」

時遷は、腹のうちで「まず、目ぼしはついた」と、取ッて返した。その日は旅籠へもどって、忍び道具一式を調べ、さて晩になると、晩飯もたっぷり食い溜め、真夜半、出かけだしたものだった。

巨大な門も築土も、彼にかかっては何の用も果していない。時遷はいつのまにか大きな椋ノ木の梢に、栗鼠みたいに止まっていた。どこかの城楼で時の太鼓がにぶく鳴っている。丑満すぎると何処もかしこも白々と霜がむすび、万象寂として声もない。