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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

二刀の女将軍、戦風を薫らして、 猥漢の矮虎を生け捕ること

楊雄に道案内させ、花栄、石秀など二百騎を後ろに連れて、李家荘の濠端まで来てみると、はやくも門楼では非常太鼓が聞こえ、吊り橋もひきあげられて、寄せもつけない厳たる警戒ぶりにみえる。

「これは梁山泊の宋江と申す者です。ご当家に敵意はない。ただひとえに、ご主人撲天李応どのへ拝姿をえたく伺った事、なにとぞお取次ぎを。お疑いなく、お取次ぎをねがいまする」

濠越しに、馬上の宋江は、こう大音声をくりかえした。――と、まもなく、彼方の石垣から一そうの小舟が渡って来た。これなん、楊雄とは親しく、また楊雄を恩人ともしている、李家の食客、鬼臉児の杜興だった。

「おう兄弟」――と、楊雄はさっそく、彼を引いて、宋江にひきあわせたが、杜興は何ともすまない顔つきで、こういった。

「せっかくですが、主人李応は、病中でもあり、なんとしても、お目にかかれん、とのみで苦りきっておられます。またの折もございますこと、今日のところはどうぞ一つおひきとりのほどを」

「矢傷をうけて、ご療養とは伺ッておる。だが、会えぬというのは、それだけの理由でもありますまい。ご本家、祝朝奉にたいするご遠慮か」

「それもありましょう。