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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
蓮咲く池は子を呑んで、金枝の門にお傅役も迷ぐれ込むこと
するとその途上、一旗亭を見かけ、彼は護送の部下に、酒を振舞った。また彼らの好きな袖の下をたんまり握らせ、そのあいだ囚人の雷横を、そっと裏の雑木林へつれて行き、手鎖を解き首枷を外してやった。
「朱同。どうするのだ俺を」
「わかっているじゃないか。君とおれとは十年の友だ。なんできさまを獄へ送れるものか。逃げてくれ」
「ばかをいえ。あとで君の難儀は知れたこと。舎利(骨)になっても、男として、そんなまねができるものか」
「うんにゃ、雷横。ここは考え直せ。きさまには、大切な老母がある」
「……言ってくれるな。そのことは」
「この朱同は独り身同然だ。しかもな、君は獄へ行けば殺される。けれど俺が君を逃がした落度を背負ッて帰っても、知事は俺までを殺しはせん。……なぜならばよ、知事は自分の情婦を殺された怒りでかっとなったものの、知事にも世間への弱みがある。俺もそこを突いてやる。さあ、あとはいいから梁山泊へ突ッ奔れ」
「え、梁山泊へ」
「おう、かつて俺たち二人が年来のご恩返しにお助けした名主の晁蓋さんは昨今あの山寨の統領。宋江先生もおいでだと聞いている」
「かたじけない。じつは先頃の旅帰りの途次、はからずお目にかかっていたのだ。