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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
水滸の大寨は凱旋した仲間を迎えて、歓呼に沸いた。なにしろ、北京の府は、四百余州中でも屈指な城市であったから、これを陥すには、じつに多くの犠牲と困難があった。それだけに、泊中全山の沸き返り方といったらない。
大宴、三日のあと。
宋江は、盧俊儀を、忠義堂の上座に厚く迎えて。
「あらためて、おわびします。すべては水にお流しください」
「いまは何をか申しましょう。何事も水の流れと観じて忘れております」
「では、私どもの初志をいれて、大寨の頭領の位地にお就き下さることも、併せて、ご承知くだされようか」
「それはいけません。自分の才にないものは」
「いや。呉用以下、われらすべての望みなのです」
「何と仰っしゃられても、その儀ばかりは」
どうしても、盧の意志は、うごきそうもない。で、ぜひなく当分は、客分の名で別格な座にあがめ、そして何かの相談にはあずかるということで、ひとまずここはおさまった。
「ところで、番頭の李固と、その李固と密通していたご家内の賈氏は、どうご処分なさいますか」
「見たくもありません」と、盧はいった。「――とるに足らない虫ケラども、燕青の手にまかせておきましょう」