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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页
直言の士は風流天子の朝を追われ、 山東の野はいよいよ義士を加える事
だが、わが聟に鎮圧の功をあげさせてやりたいとする私情から、今日まで援軍の派遣をはからわず、朝廷へも「――いや、梁中書がおりますからには」と、半ば嘯き、半ばフタをしていたものだった。
蒼惶と、彼が参内するとまもなく、景陽楼の鐘が鳴り、祗候ノ間には、ぞくぞくと、文武の群臣があつまった。
やがて玉階の御簾が高々とまきあがる。道君徽宗皇帝の姿は珠の椅子にあった。逐一を聞きとられると、さすが風流天子の眉もふかい憂色に沈んで見える。……と、諫議ノ大夫趙鼎が、列座からすすみ出て奏上した。
「これはもはやただごとではありません。いまにして大策をめぐらさねば、一波は万波をよび、全土の兇乱ともなりかねますまい」
「ゆえに、いかにせよと、諫議はいうのか」
「暴を伐つに、武をもってしては、火を消すに火をそそぐようなものでしょう。加うるに、彼らは水滸の要寨に拠って、野性放縦、とても手におえないことは、これまでもしばしば差向けられた討伐軍が、いたずらに損害また損害のみうけて、いちどの勝利も得てないのに見てもその愚がわかると思います」
「だから、どうせいというのだ、諫議」
「よろしく慰撫の沙汰を降し給うて、彼らの罪を赦され、彼らの不平をして、逆に世のための意義ある仕事に役立たしめるよう、ここに皇徳の無辺をお示しあらば、元来が単純一片の草莽、なまなか